「声」欄読み感想文/主張まとめ投稿も 札幌市立厚別北中学校 美田 学秀 先生

 社会の動きに関心がない中学生が増えてきていると言われる。アンケートによると、テレビ欄を除いて、毎日定期的に新聞に目を通す生徒は約三割で、その大部分が「スポーツ欄」「社会面」「四コマ漫画」というのが実態だ。しかし、あまり新聞を読まない中学生の大部分は「読まず嫌い」であり、新聞を全く見たことがないという生徒も多い。授業の中で、新聞を丸ごと生徒に渡し「一通りながめてごらん」と問いかけると、興味や関心のある記事を発見し、新聞に掲載される情報の多さに驚く生徒も多い。

 北海道新聞の日曜日読者の声欄に「みらい君の広場」が掲載されている。小、中学生、高校生がしっかりとした自分の考えを持ち、堂々と主張する投稿に好感が持てる。同じ世代の意見として生徒たちにも共感できるものが多いと考えて、選択社会科の授業の中で掲載されていた投稿をいくつか紹介しながら意見、感想を書かせる学習を試みた。

 初めのうちは投書に対する感想で終わってしまうものが多かったが、回を重ねるたびに、自分の主張をきちんと述べる生徒が増えてきた。「不登校の友に周りが学校の楽しさを教えてほしい」と訴える投書には「周りに期待するより、まず自分から行動しなければ物ごとは改善しない」と呼び掛け、やがて自らも「投稿したい」と原稿を書いてきたり、家庭で新聞を見ながら親と話し合ったという生徒もいて、社会の出来事に関心を持って目を向ける意欲が感じられた。「みらい君の広場」に掲載された投稿は、道徳の授業やディベート学習にも効果的な題材だろう。

 また、選択社会科では、年末に各新聞紙上で行われる十大ニュースへの応募にも取り組んだ。北海道新聞でも11月30日に候補ニュースが掲載されたが、この一年間を振り返りながら気の合った友人と「こんなこともあったよね」と印象に残ったニュースを選ぶ学習が今年も繰り広げられるだろう。この十大ニュース選びは「あふれる情報の中から必要なものを取捨選択し、自ら判断する」ための訓練としては優れた教材だと感じている。

 昨年のことだが、三年生の後半に、総合的に新聞を活用する卒業論文の作成に取り組ませた。最初は最近話題のニュースについて社説を読み、自分の意見を書くこと。次の段階は新聞から興味のある記事を見つけ、記事の要約とともに自分の意見を書く。そして仕上げの卒業論文作成は、積み上げてきた資料をもとに「思考・判断」を繰り返して自分なりの「表現」をする作業だ。生徒たちの活動は新聞、図書室はもちろんインターネットを利用して情報検索をするなど意欲的だった。選んだテーマは「日本経済について〜不景気脱出の道〜」「遺伝子〜ゲノムからの考察〜」など学術的なものから「プロ野球FA制度について」「子どもの健康」など日常の関心事まで幅広い。さらに周到な準備や支援があれば生涯学習のきっかけとさせる可能性を秘めた取り組みだったと考えている。

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