オランダ紙と比較/関心深まった生徒 札幌市立あやめ野中学校 三上 久代 先生

 新聞は、学校図書館の重要な資料のひとつである。新聞を読みながら図書館でひとときをすごす生徒がいるのもいいなあと思い、NIE実践校に加えていただいた。

 毎日とどく新聞六紙は、図書局のNIE係を中心に整理、掲示したり、「図書局だより」で紹介したりしている。そんななか、全国のNIE実践校の先生方とともに、自費で参加したオランダNIE事情視察の旅は強烈な印象を私の心に刻んだ。

 「読書は生きるための能力である」「考えさせる問いを発せよ」「いくつか見せて選択させることが重要だ」などなど…。オランダ新聞財団のジェラルド氏の言葉は示唆に富んでいた。

 実施三年目を迎えた「朝の読書タイム」は、今年から「総合的な学習」に位置づけられた。一年生では、読書タイムで新聞を読み、その後の授業でも新聞を取り上げるという実践を試みた。学校中が静寂に包まれる読書の時間、新聞を読む学級だけは紙面を繰る音が響き、何か活気に満ちた、いつもと違う雰囲気が漂っている。

 授業では、オランダの新聞と日本の新聞を比較しながら、新聞とは何かを考え、新聞記事の構成なども話し合った。オランダの新聞を見て「これは間違いなく新聞だね」と自信満々の生徒も「なぜ?」と問われると、考え込む。そこから意見が相次ぐ。これが日本の新聞なら「〇〇新聞と印刷されているじゃない」で終わってしまいかねないのだが−。授業ではさらに、普通の新聞の半分くらいのサイズのオランダのフリーペーパーを生徒に回覧した。駅や街路で無料で配られている広告主体の印刷物だ。日本の情報誌と比較しながら「フリーペーパーなんて初めて知った」と新鮮な驚きの声が上がる。

 授業を終えて「新聞は奥が深い。もっと知りたいので、また授業で取り上げてほしい」と話す生徒たちから、楽しく考える学習だったことがうかがえる。

 「見出し、前文(リード)、本記などを勉強していくと、一つ一つのニュースが読む人にどう伝えられるかが理解できた。毎日目を通すようになった新聞で『あっ、これがリードだ』と分かりだし、前より新聞が読みやすく思えてきた」。そんな生徒の感想を大切に、新たな実践を積んでいきたいと思う。

戻る