情報集め奉仕活動/感想をつづり投稿 札幌市立北白石中学校 日下部 憲一 先生

 本校でのNIE実践は、社会科を中心に新聞を活用しているが、教科授業以外でも「今日のトップニュース」や「ボランティア情報コーナー」などの掲示を通して新聞に親しむ環境づくりを進めている。なかでも特徴的なものに、生徒のボランティア活動がある。生徒会が中心になって夏、冬休みに老人ホームやデイサービスセンター、乳児保育園を訪問したり、一人暮らしのお年寄り宅に出かけて除雪作業を手伝ったりする。

 夏、冬あわせて200人を超える生徒が参加するボランティア体験は、各学年ごとに設けた「ボランティア情報コーナー」の閲覧が第一歩。新聞各社の健康や福祉に関する記事、地区社会福祉協議会が発行するボランティア体験呼び掛けなどの情報を掲示したコーナーで、それぞれが関心を持って取り組めるテーマを選んでいくのだ。

 ボランティア体験を積む過程で、子供たちはさまざまな人々とのふれあいや交流を通して社会への関心を高め、視野を広げていく。さらに新聞から得た健康や福祉の情報から現実社会への理解を深め、いろいろな見方や考え方があることに気付く。生徒のうちの何人かはこうした体験を新聞社への投稿という形にし思考力、文章構成力ばかりか豊かな心もはぐくんでいった。

 夏の一日、老人保健施設を訪れた三年女子は、道新「みらい君の広場」で感想をつづった。「……帰り道、私の心はとてもすっきりしていました。とてもハードな仕事だったけど、それを終えた充実感、そしてお年寄りの笑顔が私の心を満たしていました。ボランティア説明会での言葉の意味が、いまはっきりわかりました。ボランティアとは『自分の心を育てること』だと私は思っています」

 この五月には市民団体・日本を美しくする会の「掃除に学ぶ会」が本校を会場に開かれ、何人かの生徒が参加してトイレ掃除に汗を流した。感想文で三年男子は「トイレは人間にとって切っても切れない重要な場所。トイレ掃除を通して人間の本質を学び、トイレを磨くことで自分の心を磨くことが少しわかった」と活動のねらいをしっかり理解していた。

 社会科の授業では新聞で得たテーマを手作り新聞で発表する実践も行っている。これら体験的学習や問題解決的な学習は、新設される「総合的な学習の時間」の創意工夫を生かす取り組みにつながる。リアルタイムで発信される新聞の情報は総合的であり、指導方法の工夫で生徒の関心を高める優れた学習教材になりうると感じている。

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