役に立つ英字広告/工夫次第で教材に  芽室町立芽室西中学校 嘉藤 貴充 先生

 英字新聞は難しい。ましてや中学生の英語力で英字新聞を扱うのは至難の業と思われます。でも工夫ひとつで英字新聞も教材として活用できるのです。

 英字新聞の広告欄で東京・秋葉原の電器店商品案内が2ページにわたって掲載されているのを見つけました。商品にはもちろん英語で説明が書かれています。炊飯ジャーにはRice Cooker、デジカメならDigital Camera といった具合です。特価はspecial、定価のregular もあります。広告の隅には電化製品以外の英語もあります。「地方発送承ります」shipping service is available とか、「売り切れ御免」we are sorry if some items sell out なんてのもあります。

 広告を生徒全員に配り、教師が板書した日本語を英語にしなさいという授業に取り組みました。生徒たちは辞書を手に広告と黒板の日本語を見比べながら探し物ゲームをするように楽しげです。ところが英訳する単語はなかなか難しいものです。それに辞書にはほとんど載っていません。でも機転を利かせると、目の前にある広告に写真付きで答えがあるのです。この視覚に訴えるヒントは相当な効果がありました。英語力というより生活力、もしくは常識とカンがものをいいます。日ごろのテストではなかなか点を取れない生徒もこの授業なら頑張ることができました。それがなによりうれしいことです。

 「教科書よりこっちのほうが数倍楽しかった。わからない英語もよくわかったし、日本で作ったものもあるんだなと気付きました。アメリカの広告も日本のもたいして変わりはないみたい」「ウォーリーを探せみたいなゲーム感覚で楽しかった」という生徒の感想が印象的でした。

 いま、英語教育が次々と見直されています。英字広告を活用したこの授業や、漫画の吹き出し部分を翻訳させる実践を通して私の英単語への考え方が変わりました。日常生活で頻繁に使われている名詞をもっと覚えてもいいのではないかと。中高生が持っている携帯電話は、英語になるとcellular telephone =細胞電話です。地図の上で細胞のように細かく分けられた区分にアンテナを設置していることから名付けられたのだそうですが、「細胞持ってる?」なんていう子供たちの会話などなかなかおもしろい話です。

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