環境記事切り取り/自然の大切さ意識 帯広市立森の里小学校 柏本 洋子 先生

 森の里小学校は開校以来、環境教育を教育の柱の一つに位置づけ、自然に親しむことと身の回りの生活を見直すことをそのテーマに掲げています。環境学習に新聞を生かそうと取り組んだNIE実践は、子どもたちの学習展開にきわめて効果的だったと思います。

 子どもたちは、各教科の中で「ごみから環境問題を考える」「森林と環境問題」などの課題を見つけ、資料収集や調査、インタビューなどでその課題を追究してきましたが、手がかりを見つけるのに新聞の環境記事がとても役に立ちました。

 毎朝、当番の班が新聞を持ってきて、朝の自習時間や休み時間に環境問題に関する記事を探し、切り取り、用紙に張って、その記事に関するコメントや感想を書きます。額を寄せ合って「これ、環境問題かなあ」などと相談しながらの作業は、最初は記事の見落としが多かったり、難しい漢字に苦労したりしていました。でもやがて子どもたちは内容を読み取る力をつけ、環境に関する意識も高まっていったようです。子どもたちのつぶやきや感想から、そのことがうかがえます。

 「ダイオキシンの99%以上を無害化」という記事を見つけたとき、子どもたちはまず「すごいこと」と驚き、みんな「早く実用化してほしい」と願いました。こうした反応は、ダイオキシンを出さない工夫や、一人ひとりができることを考える意識へとつながっていくのです。

 これらの切り抜き記事は、一カ月ずつまとめて自然に関すること、ごみの問題、地球環境問題…などと、大まかに分類して壁新聞にしていきました。

 毎日「今日はどんな環境問題が載っているかな?」と考えながら新聞を見ていた子どもの一人が、「帯広の森を流れる第二柏林台川の水源池が危ない」という記事を見つけました。自然観察などでいつも親しんでいる川の上流に高速道路がつくられるため、そこに生息している絶滅危ぐ種のニホンザリガニなど大切な生きものの生息環境が壊され、このままでは生存が危ぶまれるというのです。

 子どもたちは、森の育樹活動の後で川の探検に出かけて様子を調べました。そして、アンパンマンの登場する寸劇にして発表し、ニホンザリガニの危機を訴えました。

 環境学習の課題解決のための新聞利用から出発したNIE実践でしたが、日ごろの環境教育と結びついて、子供たちに自然環境を守ろうとする意識を育てる一歩にもなりました。

 これからも、環境問題に限らず、自ら学習課題を見つけ、その解決のために新聞を活用していく子どもたちであってほしいと思います。

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