札幌市長選挙への期待

 北海道知事選挙は相乗りが確定し、もはや「消化試合」の観を呈している。
それに比べて、札幌市長選挙は中尾則幸元参議院議員の出馬により俄然興味深いものとなった。

 長い間、北海道政界にとってのメインイベントは知事選挙で、札幌市長選挙はその陰に隠れてきた。そして、歴代の市長はすべて助役出身という、政令指定都市では珍しいほど平穏無事な選挙が続いてきた。

 新聞報道も、政治部の有能な記者が道庁クラブに集まるため、道政に対しては風当たりが強いが、市政に対してはそのような意味での批判的記事が少なかったように思う。

 ようやく札幌市民は、まともな意味での市長選挙の機会を得た。この機会に、21世紀の札幌について大いに議論し、悔いのないようにリーダーを選びたいものである。

 このところ、福岡市では新進党の元代議士が現職を破り、広島市では社民党の前代議士が組織基盤なしで当選を飾るというように、政令市の市長選挙は活気づいている。都市化が進み、無党派層が増加している政令市では、現職の有利や支持組織の強さは案外あてにならないものである。

 現職の桂市長の陣営も、これらの政令市の動向に神経をとがらせているに違いない。しかし、それは桂氏自身にとっても、札幌市民にとっても、良いことである。選挙が活発になってこそ、政治家は必死で政策を考え、まじめに市民の声を聞こうとするからである。

 内輪の支持者を固めるという守りの発想ではなく、既成の政治に飽き足らない市民に対して、札幌市政の実績と将来ビジョンを訴えることこそ、桂氏の勝利にとって重要な鍵となる。
 私も四月の選挙はふて寝しようかと思っていたが、札幌市長選挙の活性化で、是非投票に行こうと思っている。私が候補者に聞きたいのは次のようなことである。

 既にドーム競技場は着工しているが、今後の経営見通しはどうなっているのか。 市民の税金を巨大なハコモノの維持費につぎ込むことには反対である。

 介護保険の見通しはどうなっているのか。我々は札幌で高齢社会を迎えられるのだろうか。  ワールドカップだの、サミットだの大イベントを手柄にするのは、昔の発想である。

 市民がこれから直面する大きな問題についてまともに議論することこそ、リーダーたらんとする者の務めである。