参議院選挙を楽しむ方法
7月12日は参議院選挙の投票日だが、選挙の前から投票率が史上最低になるのではないかと、政治業界関係者は心配している。私のところにも、マスコミから参議院選挙はなぜ盛り上がらないのかとか、無党派層に投票させる妙案はないかといった取材がくる。
しかし、それらの問いには答えはない。空前の盛り上がりを見せた九年前の参院選と比べてみよう。あのときは、消費税廃止や自民党の腐敗という明確な争点があり、土井たか子というスターがいた。そのようなはっきりした選択肢があれば、人々は選挙に関心を向けるのである。
考えてみれば、あれからの九年間、日本人はそれなりにまじめに投票してきたが、投票によって政治家を入れ替えることは多少できても、それが日本の世の中を変えることにつながらないという教訓を学んできたのである。税制、社会保障制度、金融システムなど国にとって基幹的な政策の転換は、常に官僚主導で徐々にしか進まないということを我々は見せつけられてきた。棄権する有権者はけしからんという説教をしても、状況は改善されない。
投票率が低下する原因は、政党の側にあると思う。とはいえ、政党に対して明確な選択肢を示せという説教をしても、これまた十年一日のごとき精神論に終わって、まったく状況は変わらない。こうした盛り上がらない選挙の時には、あちこちで同じような説教を繰り返す自分に対して、自己嫌悪の情がわいてくるのである。
今回の参院選の課題は、ただ一つ。自民党に対抗する政党がバラバラでは、自民党政治の延命に手を貸すだけという教訓を学ぶことである。先日、友人が環境問題を考えるシンクタンクを作り、そのお披露目のパーティに顔を出した。すると、菅、土井、武村、村山など市民の政治を標榜する政党の幹部が、こぞって自分の党こそ環境問題に真剣に取り組むと挨拶した。ならば、下らない私怨や行きがかりを捨てて、開発志向、成長重視の自民党に変わる新しい政党を作って、政権を取れよといいたくなった。
要するに、日本の大事の前に私的な感情を重視するような政党・政治家は、どんな立派な理念を唱えていても落選するべきなのだ。その意味では、自民党の勝利こそ、市民派勢力にとっての最良の薬となるだろう。私はそこまで腹をくくって、今度の選挙を楽しもうと思っている。
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