≪絵と文部門≫

大賞一席(北海道知事賞)

動物園の向こう側

山内 いづみ(やまうち いづみ)=北海道北広島西高等学校3年

読んだ本:《夢の動物園 旭山動物園の明日 坂東元/著(角川学芸出版)》

 夢の動物園―。
 道北の、寒さ厳しい旭川に、その動物園はある。「行動展示」という方法により、野生動物の、生き生きとした姿を見ることが出来るのです。
 かつて北海道には、エゾオオカミが生息していましたが、人間が欲望の為に絶滅させてしまったのです。そんな歴史があった事に、とても悲しくなりました。私たちは、人間社会の発展の為に生態系に手を出し、自然の節理を壊し続けている。「真の自然」をわかっていない人間が、自然界に土足で踏み込んで都合のいい所だけ関わり、一方的な感情を押しつけいい気になっている。人間の残酷なまでの行いにより、真っ先に犠牲になってしまうのは、野生の命(動植物)であるということを私たちはわかっていない。
 世界のいたる所で起きる自然災害は、人間が「不自然」にしてしまった結果なのかもしれない。「これ以上自然の中に入って来ないで!」と自然が憤っているようだ。
 最近、地球がなにかおかしいぞ、と言って慌てている人間達。この美しい地球で、人間も野生動物も、命あるもの全て共に生きて行く為には、これ以上壊してはいけないし、壊してしまったものは、直さなくてはならない。簡単に直せるものではないし、絶滅してしまったものは、二度と再生することはないけれど・・・・・。
 動物園では、野生動物のありのままの姿を見ることが出来る。「自然の命」が凝縮している場所だと思う。そこには動物からのメッセージがあるような気がする。だから自然は人間だけのものではなく、地球上に生きる全ての命の為にあるということ、人間も同じ動物であり自然の一部なのだと気づくことが出来ると思う。
 将来、自分の子供を最初に連れて行く場所はもう決めている。「自然の命」がある場所。純粋な子供は、必ず何かを感じると思うから。

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