1977年有珠山噴火 絶対絶命・・・Big3の夜
八月八日夕刻。Big2の噴火が収まり、夜を迎えた洞爺湖温泉に小雨が降り始めました。睡眠不足で、着替えもなく、火山灰にまみれて三日間駈けずり回った観測陣は、すっかり疲れきっていました。深夜になって、雨が激しくなってきました。
そして二十三時四十分から第三回の大噴火、Big3を迎えます。
風向きは依然、洞爺湖温泉のほうでしたので、宿は降灰や噴石の直撃を受けることになりました。軽石が大量に降ってきました。雨の中、次々に石が降ってきます。火山雷が激しく鳴っていました。
深夜の暗闇のなか、雨雲と大噴煙で覆われた有珠山でいったい何が起こっているのか、噴火の全体像が分かってくるまでには何日も要したのです。そして、その時点で私たちは、町でいったい何が起こっていたのかを、まったく知りませんでした。温泉街が、深夜に絶体絶命・孤立無援の状態に陥っていたことは、ずいぶん後になってから知ることになります。(42頁〜45頁から一部抜粋)
1988年十勝岳噴火 火砕流の発生 噴火の予知情報
当時、十勝岳の噴火の三分の一は事前に予知できており、その予知情報は北大から気象庁まで伝えられていました。しかし気象庁はその情報を外に出さないのです。私たちがせっかく「一時間以内に噴火が発生する確率がかなり高い」と根拠を示して知らせても、その情報はまったく表に出ていかないということが分かったのです。
リスクの高い意見はなるべく使いたくないという気象庁の姿勢でした。噴火予知連絡会の幹事会に諮り、他の学者の先生方のお墨付きがあれば発表できるかもしれないが、時間のないなかで即断のハイリスクは受け入れられない、つまり気象庁は火山の専門家集団ではなく、あくまでも官僚機構にとどまるのだと、私なりに理解しました。
それで私は災害対策の別ルートである北海道防災会議の事務局に電話をかけて「もう気象庁には伝えていることですが、近々一時間以内ぐらいに、今までの例だと噴火が起こる可能性があります」と、マル秘の直前予知情報を伝えたのです。(152頁〜153頁から一部抜粋)
2000年有珠山噴火 事前避難の達成 ウソをつかない山
「地震が現在有珠山周辺で頻発している理由は、マグマが押しているのが原因です。この現象は、噴火の前兆活動と思われます。その理由は、過去七回の噴火すべてにおいて、そのような前兆活動を伴っていたということが第一点目。さらに、過去においても、活動期以外にそのような現象は起こっていないこと、これが第二点」。
「有珠山はうそをつかない山」という表現は、このときに出たように思います。すなわち、群発地震は「噴火になるものとして、緊急減災に踏み切る必要がある」という、マグマからのメッセージでした。(234頁〜235頁から一部抜粋)
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