北海道新聞社の本 立ち読みコーナー


表紙

札幌の秘境

大都会札幌の、意外に知られていない選りすぐりの秘境50ヵ所を紹介。札幌の風土や歴史、文化に触れながら、本を片手に気軽に散策が楽しめます。これ一冊で札幌通。


A5判 224頁
青木 由直 著
定価 ¥1,260
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サッカーステージを引き込む札幌ドーム

 札幌ドームは北海道農業研究センターの広大な敷地に接してある。国道36号沿いの歩道から、札幌ドームのオープンフィールドの周囲の公園に自由に入ることができて、屋外サッカー練習場があり、子供達がサッカーの練習をしている。練習場の向こうにドームが見える。オープンフィールドの高い所から、屋外で芝の養生を行っているサッカーステージ(ピッチ)と札幌ドームのパノラマ写真を撮る。

 日本ハムファイターズのフランチャイズ球場でもある。ということは、ドームを野球用、サッカー用と試合によって模様替えする必要がある。このため、オープンフィールドにあるサッカーステージ全体を、球場の中に移動させてサッカー場に変身させる。札幌ドームで行われるサッカーの試合は年に十回程度だそうで、ステージの移動を目で確かめる機会はそれほど多くはない。

 サッカーステージの移動は、取り込み口部分の客席を両脇の客席の内部に収納し、移動した客席部分の壁を開け、ここから行う。

 サッカーステージ全体の重量は8300tもあり、これを空気で浮かすホヴァリング方式で十分の一の830tまで軽くして、34個の車輪を使い動かしている。速さは分速4mということなので、広さ120mほどのドームの端からこの距離を移動することになれば、単純に計算して30分はかかる。

 自然芝はドーム内では三、四日が限度で、サッカーの試合が終わればまた屋外に移動することになる。(30〜33頁から一部抜粋)

 

石切り場跡の異空間−石山緑地

 都市に公園を造る一つの手段として、本来の目的で使われていた場所の役目が終わり、これまでの目的やそのために使われていた場所を隠すように造り変えるか、残された場所の景観を生かすようにする再開発の方法がある。前者の例では、東区のゴミ捨て場であったモエレ沼周辺を公園化したモエレ沼公園や、採石場跡を隠すようにして緑地を進める五天山公園などがある。後者の例としては、逆に採石場跡を生かした石山緑地がある。

 石山緑地は豊平川の東側に位置し、西側には硬石山があり、ここは現在でも採石場になっている。石山で産した軟石に対して、硬石山の石材は硬度のあるものであったため、札幌硬石と呼ばれ、それが山の名前にもなっている。

 スパイラルスプリングから、南西方向に少し歩くと木立の中にオブジェが設置されている。そこを通過していくと、かつての石切り場が姿を現してくる。この景観を、予備知識なしで初めて目にすると異空間の表現がぴったりである。

 採石場跡の景観を生かした野外劇場をイメージしたネガティブマウンドと名づけられた造形がある。石切り場の切り立つ岩肌を借景にして、中心を取り囲むように石段が設けられている。夏にはこの石舞台がライトアップされ、この異空間に仕上がった場所でイベントが行われると聞いている。そのようなイベントを見る機会にはまだ出会っていないけれど、ポスターの写真ではお目にかかったことがある。(82〜85頁から一部抜粋)

 

大都会から山村への抜け道−小別沢トンネル

 大都会札幌の中央区というと市街地ばかりかと思うと、西側には山間部が広がる。中央区宮の森から西区小別沢に抜けるあたりは大倉山や“よこして山”で遮られるけれど、ここを越えると大都会から山村の趣の地区にでる。通常はこの山越えの代わりに、小別沢トンネルを利用することになる。もし、このトンネルがなければ、両地区は山道を使うよりほかなく、それが大変であるのは、大倉山から小別沢につながっている遊歩道を歩いてみると実感できる。

 小別沢の旧トンネルを利用して中央区と西区の往来がなされていた。旧トンネルは、地元の人達が必要に迫られて、1928年頃に素掘りで二年間かけて100mほどを貫通させたのが始まりで、その後鉄筋やコンクリートで補強されて利用されてきた。この旧トンネルが使われていた頃、トンネルは心霊スポットとして有名になって、トンネルを通ることが肝試しにも使われていた話が伝わっている。2003年4月に新トンネルが開通し、旧トンネルは閉鎖された。

 新トンネルを歩いてみた。新トンネルは230mの長さで、歩道も付いていてトンネル内を歩くのに危険は感じない。新トンネルは心霊スポットとは無縁のところであった。(186〜189頁から一部抜粋)

 

 

 
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